Capico:観光案内所の統合運用ハブ

Capico:観光案内所の統合運用ハブ

役割 プロダクトエンジニア、フルスタック開発者
期間 2週間 (2025年)
技術 SvelteKit, Google Workspace API, PWA
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1. 課題

山ノ内町インフォメーションセンター(YIC)は運営上および法務上の課題を抱えていた。

主要な課題

  • コンプライアンス上の課題:紙の登録簿では、後続の顧客が前の顧客情報を閲覧可能な状態であった。加えて、身分証明書の写真はiPadに保存され、削除作業はスタッフの自覚に頼っていたため、個人情報保護法の違反リスクが存在する状態であった。
  • 業務上の課題:紙ベースの業務ではサービス状況を追跡できず、効率性の低さおよび監査困難が課題であった。
  • 制約条件:本プロジェクトに割り当てられた予算はゼロであり、既存のGoogle Workspaceを活用する必要があった。

2. ユーザー観察で得た気づき

現場での観察により、重要な課題が明らかとなった。

スタッフの一人がログインに手間取る事例を確認した。ブラウザ操作に不慣れで、シークレットウィンドウを開いたままログインできない状態となっていた。

このことから、技術的な問題よりも、スタッフがデジタルツールに対して心理的障壁を持つ点が課題であると判断した。50代前後のスタッフが「難しい」と感じる場合、システム導入の進捗は期待できない状況である。

3. プロダクト戦略

上述の気づきとゼロ予算の制約を踏まえ、以下の戦略を立案した。

戦略1:デザインによる心理的障壁の低減

訪問客向け

  • 無機質なフォームを避け、自前で撮影した雪山の写真を背景とし、親しみやすいカピバラマスコットを配置

スタッフ向け

  • ホスト感を演出するように、作務衣を着用したカピバラマスコットを採用
  • シンプルなSaaS風UIを構築することで、学習負荷の軽減を狙った

戦略2:現実的な技術によるコストとコンプライアンスの管理

データ管理

  • 既存のGoogle SheetsやGoogle Driveを無料かつリアルタイムなデータベースとして活用

コンプライアンス対応

  • Google Apps Scriptにより、データ保持ルールに従った個人情報および写真の自動削除プロセスを構築
  • コンプライアンスリスクの排除を実現

戦略3:PWAによる使いやすさの確保

スタッフがログインページを探す問題を解消するため、PWAを採用。

ホーム画面のアイコンをワンタップで起動可能で、導入の摩擦を低減。

4. 成果

データガバナンス

  • 個人情報漏洩リスクの排除および保持・削除ルールの確立

業務効率

  • 3種類の紙ベースサービスを統合し、デジタル監査証跡の確保

導入状況

  • スタッフおよび訪問客が新システムをスムーズに利用可能となり、紙業務の完全デジタル化を達成

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